団員インタビュー Vol.6 コントラバス 久保 匡史

団員インタビュー第6回目は、コントラバスの久保 匡史(くぼ まさし)さんです!

コントラバスは弦楽器で最低音域を担い、また楽器は約2mほどの大きさ。オーケストラのみならず、吹奏楽やジャズ、ポップスなどでも大活躍の楽器です。

そこで今回は、楽器を始めたきっかけや、シュタフィルのこと、コントラバス奏者からの目線でコンサートで演奏する曲目について、聴きどころなどをうかがってきました!

まずは久保さんのことをお聞きしたいのですが、いつから楽器を始められたのですか?


 楽器を始めたのは中学生の時でした。吹奏楽部に所属していたのですが、楽器体験で管楽器はどれも思うように音が出なく、たまたま最後にコントラバスを弾かせてもらい、鳴らした瞬間に「この楽器だ!」と思い、第一希望を出しました。一般的に、吹奏楽部でコントラバスを始める場合は、「第一希望に落選したから。」とか「体が大きいからさせられた。」というネガティブな理由が多いのですが、僕は珍しいケースだと思います(笑)。顧問から「なんでコントラバスがやりたいの?」と聞かれたのを今でも覚えています。いまでは自分自身をコントラバスマニアと思っていますので、本当に運命の出会いでしたね(笑)。


オーケストラでは、どのような活動をされてきたのですか?


 高校でも所属は吹奏楽部でしたが、学内に弦楽部もあり、合同でオーケストラもしており、それが僕のオーケストラのデビューでした。大学の時は、他大学の京都大学交響楽団(以下、京大オケ。)に入団しました。2年半ほどで退団したのですが、それから今まで10年ほどはクラシックの演奏については特定のオケに所属はせず、関西圏の大学オケや市民オケ・弦楽合奏団などの様々な団体にエキストラとして出演させていただきました。コントラバスって大きな楽器で移動も大変なので、結構人が足りないことが多いんですよね(苦笑)

 ただ、ここ5年くらいは関西でゲーム音楽や映画音楽をオーケストラで演奏しようという試みが多くありまして、管弦楽団グランドノヴァやカルベローナ聖バーバラ管弦楽団等ではコントラバストップをさせていただきました。

シュタール・フィルハーモニー管弦楽団(以下、シュタールフィル。)に入団した経緯を教えてください。


 4年前に団長の阿曽沼くんから、結成のきっかけになった「はがねの日記念ファミリーコンサート」に誘ってもらいまして、それから毎年参加させていただきました。

 彼とは京大オケの時の同期で、当時の最初の印象は団内でスパイダーマンのスーツ着てパフォーマンスしたりと、アホな奴やなと思ってましたが(笑)、総務(いわゆる団長)を勤めたり、当時から人を取りまとめる力や発信力があり、常に目標意識が高く、大きな夢を語り、それに向けて仲間がみんなで支えたいと思える人柄だと思います。まぁ振り回されることも多々ですが(笑)。でも、そんな彼だからこそ、今回のように人が集まっているのではないかと僕は思ってます。


近年、関西では若手のアマチュアオケがいろいろ立ち上がっていますが、その中でのシュタールフィルの魅力はどこにあると思いますか?


 まず奏者一人一人の技術力が高いのが前提にありまして、それに加えて【音楽に取り組む真摯な姿勢】と【演奏中の集中力】が大きな特徴だと思っています。

 奏者一人一人が自分の音と他人の音をよく聞いており、主張する部分や伴奏に徹する部分を理解し、さらにパート員がどのように演奏しているかを気配りしているため、指揮者が指示する前に自然と演奏中に整ってきます。たとえば、初回の練習とかで提示部で合わなかった部分が再現部では修正されているなど、こんなオケってアマチュアではなかなかないのではと思っています。練習の時から本番中のような集中力があるので、練習はいつも楽しみでもある反面、ドキドキで緊張もしますね(笑)


今回の演奏会はロッシーニ、モーツァルト、ベートーヴェンと3人の作曲家ですが、コントラバスの観点から何か違いはありますか?


 コントラバスのことを語り出すと長くなるのですが、簡単に(笑)。作曲家が違うとベースラインの書き方も自ずと変わってきます。たとえば、ロッシーニはイタリアらしく明るく軽い頭拍の打ち込みや華やかで軽快な上昇・下降音型多いです。逆に、ベートーヴェンの交響曲には朗々と歌うようなフレーズや、含蓄のある音と言いますか小難しい哲学をブツブツと語っているようなフレーズなど様々な音型が出てきます。モーツァルトは、基本的にチェロとオクターブで重ねて書いており、快活な刻みやアルペジオが多く出てきますね。ちなみにコントラバスは英語ではダブルベースと言われるのですが、その語源はバロックや古典派でチェロとオクターブ違いで二重に、つまりダブルで演奏するからと言われています。

 特に今回演奏するベートーヴェンの交響曲2番についてですが、さほど多くの箇所ではないものの、チェロとコントラバスが別々の動き(声部)をすることをはっきり書いた初めての交響曲だと言われています(下記譜例参照)。

 このことは、とても革新的なことで、ベートーヴェン以降の作曲家は当たり前のようにチェロとコントラバスで違う声部を書かれています。この曲を分岐点にオーケストラでの表現の幅が広がったと言っても過言ではないのかなと思います。


最後に今回の演奏会の聞きどころ教えていただけますか?


 先ほどもお話したように作曲家によって、コントラバスの使い方に違いがあります。今回の曲目では、ロッシーニではコミカルで軽快なチェロとコントラバスのソリ(※ソロの複数系)がありますし、モーツァルトではチェロと一緒の音型で比較的地味な動きですが、音楽を引っ張っています。ベートーヴェンでは、ロッシーニやモーツァルトにはない、様々な表情を音で表現していると思います。

 また、オーケストラの中のコントラバスって、構築物の基礎部分のように太い音でしっかりと最低音部で音楽を支えているような音で演奏するのが一般的なのでしょうが、僕は『音の粒立ちが見える』とか『低音の動きが面白い』と思ってもらえるようなベースラインを作りたいと思っています。個人的にはロッシーニとモーツァルトは軽く音の抜けが良いフレンチ式の弓、ベートーヴェンは太く力強いドイツ式の弓を使用したりしています。どこまで客席まで音の違いが伝わるのかわかりませんが…(苦笑)

(※上がドイツ式の弓、下がフレンチ式の弓)


マニアックな観点ですが、その辺りを頭の片隅に置いて聞いていただけると、また一味違ったオーケストラの楽しみ方ができるのではないでしょうか?


久保 匡史 (くぼ まさし)


京都府立大学農学部(現 生命環境学部)卒。民間企業から転職し、現在は地方公務員。

兵庫高校吹奏楽部にて吹奏楽コンクール関西大会 金賞受賞。

大学在学時は、京都大学音楽部交響楽団に入団(途中退団)、シャシャアンサンブルジャパンに参加。

いままでに管弦楽団グランド・ノヴァとカルベローナ聖バーバラ管弦楽団でコントラバストップを務める。

特定の奏者に師事はしていないものの、国内外の様々なプロ奏者よりアドバイスを受けながら独自の奏法を模索している。

音楽以外の趣味は、料理・お酒・絵画観賞。

シュタール・フィルハーモニー管弦楽団

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