団員インタビュー Vol.3 ヴァイオリン 金子 享平

団員インタビュー第3回目は、第二ヴァイオリン首席をつとめる金子 享平(かねこ きょうへい)さんです!


第二ヴァイオリンの役割や、ヴァイオリンを始めたきっかけ、また、クラシック音楽の楽しみ方まで、ざっくばらんにお話ししてくださいました!

オーケストラではヴァイオリンという同じ楽器のなかに、第一ヴァイオリンと第二ヴァイオリンの2つのパートがありますよね。

第二ヴァイオリンの役割はどのようなものですか?


 第一ヴァイオリンが高音でのメロディを多く担当するのに対して、第二ヴァイオリンは比較的低い音を奏で、伴奏、副旋律など補佐的な役割を担う時間が多いパートです。

和声においてはヴィオラと共に内声を担当しています。内声が良く鳴っていると全体の音に厚みが出ますので、そういった意味では非常に重要なパートだと僕は思っています。

 また、曲によってやらされることが全然違うので、何でも屋さんという印象も強いですね。


何でも屋さんなんですね!(笑) 例えば、どんなことを弾いているのでしょうか?


 例えば、今回演奏するベートーヴェンの交響曲ではバッキングとしての役割を多くの場面で与えられています。ポップスでいうとギターがジャカジャカしているアレなんですが、オケにはドラムが無いので、時にはベースラインと共に音楽を率先的に前に進めることも求められます。

 他には、ブラームスのオーケストラ曲において第二ヴァイオリンは副旋律、つまり裏メロをさせられることが多く、音が絡み合う感覚をずっと味わえますので、演奏していて非常に気持ちが良いです。

 また、ごくたまに第二ヴァイオリンが主旋律をひたすら演奏する楽曲もあります。そういった場合、第一ヴァイオリンがとても難しい伴奏をしていたりするのですが、いつも補佐をしている分、ちょっとした優越感に浸ることができます。


金子さんがヴァイオリンを始めたきっかけは?


 実は僕は小さい頃、コントラバスをやりたかったんですよ、なんか大きくて低い音が出るのがかっこよくて。とはいえ、幼児がコントラバスを弾くのは流石に無理だったので、兄も習っていたヴァイオリンを3歳から始めたというわけです。

 その後、高校生の時に習っていたヴァイオリン教室の弦楽合奏でヴィオラを弾かないかと言われ、ヴァイオリンよりも低い音が出せるということで喜んで飛びつきました。おそらくこれがヴィオラを始めたきっかけだったと思います。ヴィオラについては性格にも合っていたのか、室内楽等で10年以上演奏しています。

 チェロについてはずっと弾きたかったのですが、3〜4年前に祖父が演奏していた楽器を、パーキンソン病になり弾けなくなったということで譲り受けたことがきっかけで始めました。

僕には兄と弟と妹がいて、全員ヴァイオリン、ヴィオラを弾くので、たまに4人でカルテットなどを演奏しています。


ヴァイオリンだけでなく、ヴィオラやチェロも弾けるんですね!

また、クラシックだけにとどまらず、様々なジャンルの音楽を演奏されているそうですね。様々な経験をされているからそこ見える、クラシックの魅力は何かありますか?


 僕はクラシック音楽の演奏活動以外に、ゲーム音楽を演奏したり、アドリブありの軽いセッションをやったり、ポップスをライブハウスで演奏してみたり、と様々な音楽活動をやっていますが、そんな中で改めて感じるクラシック音楽の魅力というのは、良い意味での緻密さなのかな、と思います。

 そもそも僕は音楽におけるジャンル論って凄く嫌いなのですが、そうはいっても、クラシック音楽は演奏するにも聴くにも、ちゃんと理解するためにはある程度の「リテラシー」が求められるものだと思いますし、そういった部分は大きな魅力だと感じています。


“クラシック音楽”というと、難しそう、長い、敷居が高い、などと思われがちですが、金子さんが仰る「リテラシー」があると、どのような楽しみ方が広がるのでしょうか?また、その「リテラシー」はどのようにしたら身につくものなのでしょうか?


 正直、僕は現代日本に生きている人々にとって、クラシック音楽は難しくて、長くて、敷居が高いものなんだろうなと思ってます笑

ただ、それは単純に「慣れ」がないからなのかなとも思っています。

 僕は音楽は言語に似ているところがあると常々思っていて、例えば、英語に全く触れたことのない人が英語しか無い世界に放り込まれたら凄くストレスを感じると思うのですが、それは音楽でも同じで、クラシックを全く聞かない人、悲しいことに現代日本人の多くを占めている人々だと思うのですが、彼らがクラシックを聴いたら、そりゃ長くて難しい!ってなるのだろうなと思います。

 クラシック音楽は芸術音楽という立場上、歴史を刻む上でどうしても複雑化せざるをえないものだったはずですし、実際そうなってきました。そのため、エクリチュール、つまりは書法をある程度学ばなければ完全な理解が難しいものになってしまっている、という一面があります。

とはいえ、聴いて楽しむ上ではそれほどの労力は必要としない、とも思います。

 そこでリテラシーというお話に戻るのですが、ここでは原義の読み書きの能力というよりも単純に音楽を聴く能力、また楽譜を読む能力という意味で使っています。音楽におけるリテラシーの中で、聴く能力というのは主に聴くという行動によって培われると僕は思っています。なので、ここで僕が言っているリテラシーを身につけるためには、聴き馴染みのあるものからひたすらクラシック音楽を聴くことから始めるのが良いのではと思います。

 こんなことを言うと色々な人に怒られるかもしれませんが、長くてつまらなく思えるのであれば、初めは抜粋して聴いても良いと思います。言うなれば、一番かっこいい部分だけを取り出して聴いても良いのです。ただ、その後に改めて曲全体を通して聴いてみてほしいとも思います。そうすれば、楽曲の中の一番かっこいい部分の前後にあるストーリーが段々と見えてくると思います。

そのストーリーを読み解くことこそが、クラシック音楽を聴く楽しみなのだと思います。

 実は、クラシック音楽以外にも、後期ジャズの一部やプログレッシブ・ロック等も同じような側面を持っています。ジャズが好きな人やプログレが好きな人はもしかすると、クラシックに馴染みやすいかもしれませんね。

今回は“古典派”に焦点を当てた曲目となっていますが、“古典派”とはどのような音楽のことを指すのでしょうか?


 教科書的な回答をするならば、ハイドンの後期の作品群、モーツァルトの作品、ベートーベンの第九交響曲までの音楽でしょうか。

 個人的には、ものすごく曖昧な表現になりますが、元々貴族のものであった「西洋クラシック音楽」が完全に市民のものとなるまでの期間に作られた音楽を指すのかなと考えています。ベートーベンにしてもモーツァルトにしても、いきなり近現代っぽい響きになる瞬間があったりしますので、聴いた感じでロマン派等と分けるのは非常に難しい、と思います。

 ただ、古典派は1900年代に作られたクラシック音楽などと比べると単純で理解しやすい構造をしていますので、初心者にとって聴きやすいものなのかなとも思います。

そういった意味では、今回の演奏会はクラシック初心者向けとも言えますね。


“古典派”の作品を演奏するにあたり、意識していることはありますか?


 これは古典派に限った話ではありませんが、クラシック音楽においてはオリジナリティというのは楽譜にあると僕は思っていますので、楽譜から作曲家の意図を読み取り、それを奏者全員で共有する、というところをいつも意識しています。

 今回の演奏会では大山先生がリハーサルの度に古典派の演奏の型を教えてくださっていますので、一層洗練されたものになっているのではと思います。


金子 享平 (かねこ きょうへい)


1991年6月17日、長岡京市に生まれる。

3歳より才能教育にてヴァイオリンを始め、15歳の時にヴィオラを、23歳の時にチェロを始める。

ギターやカホンなどを演奏することもある。

大阪大学在学時、大阪大学交響楽団にてコンサートマスターを務めた。

大阪大学文学研究科文化表現論修了(音楽学)

現在は大阪の某ゲーム会社に勤める傍ら、音楽活動に励んでいる。

シュタール・フィルハーモニー管弦楽団

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